経絡治療の定義
病体を気血の変動として統一的に観察し、総ての病変を経絡の虚実となし、その主たる変動経絡を主証として把握し、経穴をこれが診断と治療の場として鍼灸を以って補瀉調整し、生命力の強化を図る随証療法。
難経69難
原則
- 虚するものはその母を補う。
- 実するものはその子を瀉す。
- 補瀉共に用いる時は、まず補法によって正気を補い、而してのち、瀉法にて邪気を除くべきである。→「補法優先の法則」
- 一経のみが病み他経に関係がない時は、母子および相剋関係を考えることなく その経のみに補瀉を行えば良い→「正経の自病」
難経68難
五行穴には、それぞれの主る病症があり、それに従ってさらに井・栄・兪・経・合の呼び名が付けられている。
これを病症的性格という。
これは気血を水の流れになぞらえて表現したものである。
その主る病症を簡単に表すと…
- 井は心下満
- 栄は身熱
- 兪は体重節痛
- 経は咳嗽寒熱
- 合は逆気而泄
…と、なる。
心下満とは、心下部に手を当てて苦悶し、病邪が集中的に胸肋から心下部を冒す有様を言い、めまい、腹痛、胸痛、種々の急性腹痛症等の際によく診られる状態を言う。
(その脉は弦、緊を現す)
身熱とは自覚的、他覚的に、或いは局所的、全身的にすべて熱を感じるものを言う。
(その脉は数を現す)
体重節痛とは、身重く節痛むを言う。
疲れ、むくみ、或いは痩せてだるい、更に進んで食欲不振等。
(その脉は緩、にして軟)
咳嗽寒熱とは、すべての呼吸器疾患や気の虚等に診られる病症である。
喘咳、寒熱、少気をもって息するに足らず、進んで皮膚の痺れや異変、悲しみ嘆く等。
(その脉は概ね濇)
逆気而泄とは足腰冷えて逆気し、頭重、耳鳴り、めまい、肩こって血圧亢進等の逆証を言う。
更に大小便が出る、汗や涙が出る、或いは種々の下血、吐血、出血等は全て泄れ出づる病を言うのである。
差からにその異常として、出るべきが出ない場合もこの証に含まれる。
(その脉は濡にして石)
古典(陰陽五行論)における脉診
原則
- 同じ脉位が陰陽共に虚するまたは実することはない。
- 相剋する脉位が共に虚するまたは実することはない。
- 3つ以上の脉位が連続して虚するまたは実することはない。
相剋調整の定義(東洋はり独自の考え)
相剋関係にある脉位が共に虚を現す時は、この2つの脉証を左右に振り分け、相剋調和の理による本治法を行う。
この際、先に行う証を本証といい、後より行う証を副証という。
本証・副証決定の基本原則
- 主訴や愁訴が集中している経を本証とする。ただし、この経が陰実になっている時は、それに相剋する虚経に本証を求め、実経は副証として決定する。
これは補法優先の原則によるものである。 - 新病と久病では新病を また激しい病症では激しい方を本証とする。
- 相剋する2つの虚経のうち、完全に母子二経が揃って虚しているものを本証とし、一経のみか不明確なものを副証とする。
- 相剋する2つの虚経の陰陽を比較し、差の大きい方を本証として決定する。
しかし他の条件もよく考え、これのみにとらわれてはならない。 - 以上の条件を十分に考察しても、なお明確な決定を得ることが出来ないときは、大腹と小腹を比較し、もし大腹がより虚している時は肺虚か脾虚、また小腹がより虚している時は、腎虚か肝虚を本証として決定する。


